事業の経費をクレジットカードで払った場合、インボイスは原則として商品やサービスを購入したお店などから受け取ります。カード会社の月次利用明細は、一般的にインボイスの記載事項を満たしません。消費税の仕入税額控除のための書類と、カードの支払状況を確認する明細を分け、取引ごとに関連付けて残しましょう。
カード会社の利用明細だけでは、通常インボイスにならない
カード払いという決済方法と、税務上必要な書類の条件は別の問題です。まず、誰から受け取る何の書類かを確認します。
インボイスの発行元は、原則として購入先
カード会社の利用明細は、通常、商品の販売やサービスの提供をした事業者が発行する書類ではありません。取引内容や適用税率などの記載事項も満たさないため、一般的に適格請求書に当たらないと国税庁は説明しています。月次明細に店名と金額があれば十分、とは判断できません。
ネット通販なら購入先の注文履歴や請求書発行画面、店頭なら会計時のレシートなどを確認します。書類の発行元がカード会社なのか、購入先なのかを見分けてください。カード会社の明細は、請求額の照合などに使う資料として、購入先の書類と併せて管理すると役立ちます。
レシートや領収書でも、必要事項があればインボイスになる
書類に「請求書」と書かれていることが必須ではありません。必要な事項が記載されていれば、領収書や納品書などもインボイスになり得ます。国税庁のインボイス制度の案内でも、書類の名称を問わないと説明されています。
逆に、「領収書」や「カード利用控え」という名前だけで、仕入税額控除の要件を満たすとは限りません。支払いをした証拠があることと、インボイスに必要な情報がそろっていることを区別します。受取りの基本はカード払いの領収書のもらい方も参考にしてください。
受け取った書類は、登録番号と取引内容を確認する
買い物の直後に必要な情報を確認しておくと、後から取引先へ問い合わせる手間を減らせます。
適格請求書は金額だけでなく、税率や発行者も見る
一般の適格請求書には、発行者の氏名・名称と登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとの対価の額と適用税率、消費税額等、受取事業者の氏名・名称などが必要です。詳細は国税庁の適格請求書等の記載事項で確認します。
例えば合計金額だけを切り取った画像では、発行者や税率の情報が確認できなくなることがあります。注文番号の付いた請求書やレシートを、端まで読める状態で保存し、返品・値引きなどで後から内容が変わった場合は、その資料も元の取引と対応させて管理します。
簡易インボイスなら、宛名がなくても不備とは限らない
小売店、飲食店、タクシーなどでは、条件に応じて適格簡易請求書を交付できます。この場合は宛名の記載を省略でき、税率ごとの消費税額等と適用税率はどちらか一方の記載で足りるとされています。宛名がないレシートを一律に捨てないようにしましょう。
ただし、簡易インボイスでも登録番号や取引年月日、取引内容などは確認が必要です。宛名を手書きで足せばどの書類でもインボイスになるわけではありません。記載が不足していると感じたら、自分で発行者の番号や税額を書き換えず、購入先へ問い合わせてください。
不足があるときは、購入先へ必要な書類を確認する
購入先の公式画面や窓口に、インボイスに対応する書類の発行方法を確認します。通販サイトの注文確認メール、発送通知、領収書がそれぞれ別の画面にある場合もあるため、一番取りやすい資料だけで判断しないことが大切です。
問い合わせには購入日、注文番号、金額などを用意し、どの書類のどの事項が不足していると考えているかを伝えます。カードの全番号やセキュリティコードまで、書類発行の相談先へむやみに送らないでください。再発行できるとは限らないので、受け取った原本やデータを先に保全しておきます。
経費精算では、購入先の書類とカード明細を結び付ける
二つの資料は、どちらかを捨てるために集めるものではありません。取引の内容と支払いを、それぞれ確かめるために使います。
利用日・店名・金額・注文番号を一組にする
取引ごとのフォルダーや管理表に、購入先の書類とカード明細の該当行を結び付けておくと照合しやすくなります。明細の店名が購入時の看板や通販サイト名と違う場合も、注文番号や購入内容を記録しておけば、経理担当者へ説明する手掛かりになります。
| 資料 | 確認すること |
|---|---|
| 購入先の請求書・領収書・レシート | 発行者、登録番号、取引内容、税率・税額など必要事項 |
| カードの月次利用明細 | 購入に対応する利用日・店名・金額・請求状況 |
| 注文確認・返品やキャンセルの資料 | 注文番号、変更前後の金額、対象となる取引 |
| 会社の経費精算記録 | 業務目的、担当者、提出済みかどうか |
カードで支払った日、商品を受け取った日、口座から引き落とされた日が異なる場合は、日付も分けて記録します。どの日付で会計処理するかを、カードの引落日だけから一律に決めないようにしてください。
紙と電子データで、それぞれの保存要件を確認する
インボイスや帳簿の保存には要件があります。国税庁の適格請求書等保存方式の説明を確認し、電子データで受け取ったものは形式に応じた保存方法も確かめてください。単にカードアプリで見られることだけを、必要期間の保存と同一視しないようにします。
会社員の立替精算なら勤務先の提出・保存ルール、個人事業なら利用している会計方法や税務上の要件も確認します。書類をダウンロードできる期間や退会後の閲覧可否はサービスにより異なるため、確定申告の直前まで放置せず、取引の記録を継続してそろえましょう。
明細との組合せや例外は、対象条件を個別に確認する
全てのカード払いに同じ保存方法を当てはめることはできません。一般の買い物と、特別な取扱いがある取引を分けます。
ETC利用は、利用証明書と明細の扱いに専用の案内がある
ETCで高速道路を利用した場合は、原則としてETC利用照会サービスの利用証明書を保存する方法が案内されています。利用が多頻度で全件の保存が困難な場合には、個々の利用が分かるカード明細と、高速道路会社等ごとに任意の一取引の利用証明書を組み合わせる取扱いもあります。
詳細は国税庁の高速道路利用料金の保存方法(PDF)を確認してください。ダウンロード可能な状態を保つ場合の扱いにも条件があります。このETCの方法を、通常の通販や飲食店のカード払いへそのまま広げないことが重要です。
少額取引などの特例は、金額だけで判断しない
帳簿のみの保存で仕入税額控除が認められる特例などもありますが、対象となる事業者・取引・適用期間・記録内容を確認する必要があります。「少額だから明細だけでよい」「領収書を失くしてもカード払いなら同じ」と一律には扱えません。
また、簡易課税など納付税額の計算方法によってインボイス保存の扱いが異なる一方、所得税等のために書類の保存が必要な場合もあります。経費に計上できるかと、消費税の仕入税額控除ができるかを区別し、不明な取引は勤務先の経理、税務署や税理士へ資料を示して確認しましょう。


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